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 感情なんて一時のものだ
 喜び 怒り 哀しみ 楽しみ それらは永遠ではない
 その場でスパークした 火花のようなもの
 その火がオレからどこかへ燃え移ったとしても
 それはもうオレのものではないし
 いつか必ず 消えてしまうものだ

 けれど おまえに燃え移った小さな火花は
 消えずに大きな炎となった
 その美しさで オレの視線を奪い続ける
 その激しさで オレの心を捉えて離さない
 おまえの炎はずっと燃え盛ったまま
 この先も決して消えることがないんだろう?
 それを証明してみせるんだろう?

 だったらもっと 燃え盛れ
 何もかも 跡形もなく 燃やし尽くせ
 邪魔な火花を吹き飛ばし
 あらゆる生命を奪い尽くし
 この世の全てを滅ぼして
 最期には
 オレを のみこんでくれ

 オレとおまえのふたり
 この世の最期の炎となって
 永劫のときを 燃え続けよう



blazing sparks "blaze up" ≪≪
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 怒りにも似た 炎が燃えている
 全てを焼き払う勢いで 燃えている
 何もかもをのみこもうと 燃え盛っている

 小さな野の花が咲いていた
 あのひとの手がふれた先から みるみる生気がなくなっていく
 その花に与えた毒ですら 自分のものにしたい狂気にかられる

 もう誰にも何も与えず 自分だけのものでいて欲しい
 人から求められても応じたりせず 賞賛を安易に受け入れないで欲しい
 彼らの見ているあのひとは本物じゃないと 俺の知るあのひとだけが本物だと言いたい

 彼をひとところに留めておけない言い訳はもういい
 延命などもう放り出して今すぐ 彼が泣こうが喚こうが恨もうが呪おうが
 どこかに閉じ込めて その瞳に自分しか映らないようにしたい
 この瞳にしか その姿が映らないようにしたい

 そうしてそのまま この炎で 燃やし尽くしてしまえたら
 絶え間なく炎を注ぎ込み 最期をともに迎えられたら
 そのときあなたの中にはどんな想いが残るのだろう
 他者に対する惜しみの無い愛情が 行き場を無くしてそこに残るのだろうか
 自分のそのときには間違いなく あなたへの想いしか残らないというのに

 炎はひたすら 燃えさかる

 最期の瞳に映るもの 最期の思考で想うこと
 それを 自分のものとするために
 最期の瞳に映るもの 最期の思考で想うこと
 それを あなたに証明するために

 この終わりのない炎で今すぐ 全てを焼き尽くしてしまいたい



blazing sparks "素" ≪≪
  ≫≫ blazing sparks "last blaze"


自分の腐った感情を、この忍は受け止めてくれた。
そこにあるのが単なる忠誠心だけではないということも、今はわかっていた。
全てを晒してしまった高耶にとって、この男の前ではもう飾る必要が無い。
感謝をしたり、謝罪をしたりするべきだろうか。
でも彼はそれすら拒みたくてこの姿を選んでいるのではないか。
ならもう言葉はいらない。
お互いの温かみだけを感じてじっとしていると、心が自然に還っていくようだ。
スウェードのように光る鼻筋を撫でると、小太郎は嬉しそうに喉を鳴らした。



blazing sparks "敬" ≪≪
  ≫≫ blazing sparks "blaze up"



すごい、と高耶に言われて、嶺次郎はこそばゆくてしょうがなかった。

立場をわきまえろと言いたいのか、と返したら、
そんな卑屈な答えすら、高耶は笑いとばして言った。
お前の強さとひたむきさがうらやましい、と。

どうした、急に?
そんな風に褒めてもらうことなど普段はないから、逆になんだか不安になってくる。

楽しみなんだ。
お前が、あいつらをどうひっぱっていくか。
オレのことを、どこまで引っ張っていってくれるのか。

今日の高耶は何だか素直すぎて怖い。
が、高耶にすごい、といわれると本当に自分はすごいのではないかと思えてくるから不思議だ。
窮屈に縮こまる卑屈な心が開放されて、ひとまわりもふたまわりも大きくなったように感じる。

せっかく高耶が素直なのだから、
嶺次郎も素直にその賛辞を受けることにした。


blazing sparks "信" ≪≪
  ≫≫ blazing sparks "素"


 高耶はとにかくがんこだ。
 一度決めたら人の言うことをきかない。
 けれどこと身体に関しては、少しだけ中川の言うことを聞くようになってきた。
 中川自身が高耶の性格を理解して、いざという時にしか口を出さなくなったせいもあるだろう。
 単なる心配だけのときは、これをやるな、とは言わない。
 できればこうして欲しい、という忠告程度に留めておく。
 しかし本当に危険な状態の時は、絶対に駄目だと強く言うことにしている。
 そうすると、結構おとなしく聞き入れてくれるのだ。
 きっと仲が良くなったから仕方なく聞いてやってるというのではなく、中川の医師としての診断を信頼してくれるようになったのだと、勝手に解釈している。
 それは医師と言う立場においても、中川個人としても、とても嬉しいことだった。


blazing sparks "庇" ≪≪
  ≫≫ blazing sparks "敬"
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