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「うひゃあっ」
 卯太郎は蹴躓いて、せっかく持ってきた食事を地面にぶちまけてしまった。
「なにやってんだよ!」
 楢崎の野次がとぶ。
 うう、と思わず座り込むと、尊敬してやまない仰木隊長がやってきた。
「大丈夫か」
「す、すみません!いま新しいものをっ!」
「焦らなくていい。こんなところに運ばせたオレが悪いんだ」
「いいえ、わしがドジやき──」
「お前はよくやってる。今から食堂に行ってメシにするから、一緒に行こう」
「……は、はいっ」
 嬉しさのあまり涙が滲みそうだ。
 高耶はそんな卯太郎を優しい瞳で眺めている。いつでも全力、一生懸命の卯太郎が可愛くてしょうがない。
「じゃあ、隊長、我々も」
「お前らは駄目だ。さっき、人の目盗んでサボってただろ。このままここで訓練してろ」
 そう言い放つと、卯太郎とともに歩き出した。
「ご飯、もったいないことしました」
「ちゃんと土に還るさ」
 仲良く話す二人の後姿を、遊撃隊の猛者たちも見送るしかなかった。


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