繁華街。
明け方も近いというのに閉店間際の店内で盛り上がる一団があった。
「よっし!!このまま日が昇るまでいくぞ~~~!!」
「きゃあぁ~~~いこいこ~~~~!!」
派手な化粧に露出の多い服装の女性数名に囲まれた男性は、髪も眼も肌も色素が薄い。
明らかに外国に血が混じった顔立ちをしていた。
髪型にも服装にもかなり気を使っている。
そのせいか、実年齢よりだいぶ若くみられることが多かった。
名刺の肩書きは「輸入会社社長」。
とはいえ今日知り会ったばかりの彼女たちにはそれが本当かどうかを知る術はない。
「あの、そろそろ閉店なんすけど……」
という店員の言葉にいっせいにブーイングが起きた。
「ええ~~~~」
「しんじらんな~~~~い」
「しょーがねえ、開いてる店探すか」
会計をカードで済ませると、まだブーイングを続けている面々を引き連れて外へ出た。
すると。
都会の狭く暗い空から、灰色がかった雪がはらはらと落ち始めていた。
「わあっ、ゆきだ~」
「ほんとだあ~~」
「どうりで冷え込むわけだ」
やだなあ、さむいなあといいながら、心なしかみんな浮かれた気分になっているのがわかる。
「積もったら雪だるまいっしょにつくろーよー」
「あはは、なつかしーねー」
訊けば彼女たちは同郷の出で、雪国で生まれ育ったのだという。
それぞれ故郷を思うかのように、降りしきる雪を見つめている。
男もふと昔を思い出しそうになって、慌てて振り払った。
深く積もった雪には、いやな思い出ばかりがありすぎる。
「ほら、くさくさしてねーで次行くぞ!!」
「えー、でもどこいくのー」
「近くに知り合いの店があるから、無理やり開けさせちゃる!!!」
「いやあ~しゃちょ~っ!かっこいいっ!」
「夜明けどころか昼まで行くぞっ!!」
長秀は、自分の気持ちを盛り上げるために無理やり声を張り上げた。
I ≪≪ ≫≫ III
明け方も近いというのに閉店間際の店内で盛り上がる一団があった。
「よっし!!このまま日が昇るまでいくぞ~~~!!」
「きゃあぁ~~~いこいこ~~~~!!」
派手な化粧に露出の多い服装の女性数名に囲まれた男性は、髪も眼も肌も色素が薄い。
明らかに外国に血が混じった顔立ちをしていた。
髪型にも服装にもかなり気を使っている。
そのせいか、実年齢よりだいぶ若くみられることが多かった。
名刺の肩書きは「輸入会社社長」。
とはいえ今日知り会ったばかりの彼女たちにはそれが本当かどうかを知る術はない。
「あの、そろそろ閉店なんすけど……」
という店員の言葉にいっせいにブーイングが起きた。
「ええ~~~~」
「しんじらんな~~~~い」
「しょーがねえ、開いてる店探すか」
会計をカードで済ませると、まだブーイングを続けている面々を引き連れて外へ出た。
すると。
都会の狭く暗い空から、灰色がかった雪がはらはらと落ち始めていた。
「わあっ、ゆきだ~」
「ほんとだあ~~」
「どうりで冷え込むわけだ」
やだなあ、さむいなあといいながら、心なしかみんな浮かれた気分になっているのがわかる。
「積もったら雪だるまいっしょにつくろーよー」
「あはは、なつかしーねー」
訊けば彼女たちは同郷の出で、雪国で生まれ育ったのだという。
それぞれ故郷を思うかのように、降りしきる雪を見つめている。
男もふと昔を思い出しそうになって、慌てて振り払った。
深く積もった雪には、いやな思い出ばかりがありすぎる。
「ほら、くさくさしてねーで次行くぞ!!」
「えー、でもどこいくのー」
「近くに知り合いの店があるから、無理やり開けさせちゃる!!!」
「いやあ~しゃちょ~っ!かっこいいっ!」
「夜明けどころか昼まで行くぞっ!!」
長秀は、自分の気持ちを盛り上げるために無理やり声を張り上げた。
I ≪≪ ≫≫ III
PR